2008年09月30日

「黄金の魔獣」vol.2

※こちらの記事は18禁です!その上、BL系です! ご注意下さい※

 アダンガルは、もともと女が苦手だった。後宮の女たちの醜い争いを見てきたせいなのか、そうではない女もいるとはわかっていたが、関心が湧かなかった。その上、ひとつ年下なのに十二で、すでに酒と女で爛れた生活をしているヨン・ヴィセンや女好きの兄王のようになりたくないという気持ちがあって、ことさらに避けていたのだ。いずれは王族の義務として妻を娶り、側女を置き、継嗣を儲けなければならないことは重々わかっていたし、義務を怠るつもりはなかった。だが、義務以外は避けたかった。

 十三のとき、ヨン・ヴィセンに媚薬を飲まされ、無理やり女を抱かされたが、女を知ってもその気持ちは変わらなかった。側に置いて心地よいのは男だった。女をはべらせて過ごすより、側近や軍部の部下たちと遠駆けしたり酒を酌み交わすほうが楽しかった。男を抱きたい、いや、抱かれてもいい。相手の男が望むならとすら思っていた。

 十七のとき、西オルトゥムが新王即位のときの『慣わし』で戦争を仕掛けてきた。本来は王太子であるヨン・ヴィセンが出征すべきだったが、国王がアダンガルを大将軍に任じたのだ。そのときに副官になった将軍は、まだ二十代半ばの若い軍人だった。大公家の三男で、豪胆で気さくな感じで、部下たちにも慕われていた。アダンガルにも深い敬意を払い、若いふたりは意味のない形式的な戦争を終わらせたいと意気投合して、西オルトゥムの王都にまで攻め入って、二度と『慣わし』で戦争は起こさないと約束させた。

 その戦勝の祝賀会の夜、宴が終わってから、ふたりで祝杯を上げていたとき、将軍は、アダンガルに告白してきた。「あなたを抱きたい」と。アダンガルが不埒なと怒ると、どうか手打ちにしてくれと首を差し出した。だが、アダンガルも将軍には惹かれていたのだ。身体を重ねることを想って身体を熱くしていた。同じ想いだったと知り、アダンガルはその夜、将軍に抱かれた。
(続く)
posted by のり at 23:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 18禁ゲイ小説

「黄金の魔獣」vol.1

※こちらの記事は18禁です!その上、BL系です! ご注意下さい※
※この話は、「異能の素子」の登場人物のそのシーンのみを書いたものですので、いきなり、そのシーンから始まっています。

【登場人物】
アートラン……魔導師。13歳。金髪で紫がかった青い眼。魔力が強い。
アダンガル……セラディムの王の弟(実は息子)。文武両道に優れた有能な為政者。茶色の髪に茶色の瞳。

Vol.1
アートランの左腕がおかしいことに気が付いてアダンガルが掴んだ。
「どうした、これは」
 半袖から黄金の鱗のようなものが見えていた。アートランが胴衣を脱いだ。左胸と左の二の腕まで、円盤状のものがびっしりと重なり合っていた。
「ジィノム操作で大きくされたパルアーチャ……好きになったから食ったら、あいつの身体の毒でこんなふうになった」
 アダンガルが相変わらずだなと呆れた。あの養魚プラント事故はアートランの仕業とはわかっていたが、食っていたとは思わなかった。
「一匹残らず食べてやりたいけど、さすがに全部は食べられない」
 だからもう止めさせるとアートランが鱗に触れた。アダンガルも指先で鱗を撫でた。
「まったく、おまえは魔導師ではなく、魔獣《マギィクエェト》だな」
 アートランが、ぷいと顔を逸らした。
「好きになったから……か……」
いきなり引き寄せ、きつく抱き締めた。
「……きついよ……」
 大人びた顔でアートランが目を細めた。アダンガルが険しい眼で睨みつけた。
 ……俺の気持ち…わかっているくせに……
 いつもからかうようなことばかり言う唇を塞いだ。
(続く)
posted by のり at 01:08| Comment(0) | TrackBack(0) | 18禁ゲイ小説

企画モノのあれを更新。第5弾

これのエピは、もう少し後にしようかと思ったんですが、
どうも、NAGIとのエピがうまくまとまらないので、
先に楽なほうからと思いまして。
posted by のり at 00:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 18禁ゲイ小説